ベッカムの「黄金の右足」がまたしてもサッカーの母国を窮地から救った。
両チーム無得点で迎えた後半15分。ゴールから約25メートル離れた左サイドで獲得したFKにゆっくりと背番号7が歩み寄る。右足インサイドでこすり上げる独特のフォームから放たれたボールは、4人の壁を越えると鋭く落下。飛びついたGKの手をあざ笑うかのように、左ポストに当たってゴールに吸い込まれた。
格下エクアドルが相手だったが、気温33度まで上昇した暑さに苦しめられ、ボールを支配しながらもチャンスをほとんど作れなかった。逆に不安定な守備から決定機を許す悪循環に陥っていただけに、値千金の一振りだった。
試合終盤には痛めた右足を引きずりながらも最終ラインにまで戻って守備に貢献。大事を取って残り3分でベンチに退くと、満場の観衆からスタンディングオベーションで迎えられた。
1次リーグ初戦のパラグアイ戦ではFKから相手DFのオウンゴールを誘発し、1―0の辛勝に導いた。格下のトリニダード・トバゴに苦戦した第2戦でも、試合終盤に正確な右足のパスから2アシストを記録。1次リーグ突破を決めた。最終戦のスウェーデン戦ではFWオーウェンが右ひざじん帯を断裂して大会からの離脱が決まるなど、40年ぶり2度目の優勝に暗雲が漂っていたが、主将自らの右足で振り払った。
98年フランス大会のコロンビア戦、02年日韓大会のアルゼンチン戦に続く3大会連続ゴールは、イングランド人史上初の快挙だ。試合後は「試合前から体調が良くなかったんだ。最高のパフォーマンスではなかったけど、準々決勝進出が決まってハッピーだ」と疲労困ぱいの様子でコメント。40年ぶり2度目の栄冠達成には、やはりこの男の活躍が欠かせないようだ。
(2006年6月26日08時00分 スポーツ報知)

